理論 · 解説
いよいよ6週目、ウォーキングベースの最後の週です。先週ii-V-Iまで歩けたなら、今週はターゲット音にもっと強く吸い込まれるように近づく方法を学びます。その技術の名前がクロマチック・エンクロージャー(enclosure)です。ターゲット音を半音上と半音下から狭めて着地する、ジャズ・ウォーキングの上級の近づき方です。
原理はシンプルです。ターゲット音がFなら、まず半音上のGbを押さえ、続いて半音下のEを押さえ、最後にFに着地します。上から一度、下から一度 — 二つの隣り合う音がターゲットを両側から包み、狭めてきます。狭まってくる緊張が着地をより強くします。
順番を体に刻みましょう — 上 → 下 → 着地。エンクロージャーはターゲット音が何であれ(ルートでも3度でも)同じように使える万能の道具です。今日はその第一歩として、ターゲットFを包んで一度着地してみましょう。上のGbと下のEが、Fという家へ両側から扉を閉めるように連れて行ってくれます。
まず、ターゲットFを包む三つの音 — 上のGb、下のE、そして着地点のFを指板で見てみましょう。
▶ 4弦. 上のGb(4弦2フレット)、下のE(4弦開放)、着地のF(4弦1フレット)です。緑の点が着地ターゲットです。
▶ 5弦. 位置は4弦と同じです。低音Bは覆っておきましょう。
目で見る
では、このエンクロージャーを時間の上に乗せて歩いてみましょう。上のGb → 下のE → 着地のFを1拍ずつ歩き、最後の4拍目はFの3度Aへつなげます。三つの音がターゲットへ狭まっていく流れを耳で感じてみましょう。各例は4弦・5弦の2バージョンです。
▶ BPM 80、4弦. 1拍目Gb → 2拍目E → 3拍目F着地 → 4拍目A(3度)です。包んで狭めたあと、Fにきっちり降り立ちます。
▶ BPM 80、5弦. 音と位置は4弦と同じです。低音Bでより重い低域を乗せられます。
今日の練習
0〜10分・ウォームアップ 先週のii-V-IウォーキングをBPM 72で一度歩き、指先にスイング4分音の感覚を呼び戻します。
10〜20分・ブレイントレーニング 下の準備例でエンクロージャーをBPM 60のゆっくりしたスイング4分音で一音ずつ押さえます。上・下二つの隣り合う音がFへ正確に狭まるかを音で確かめます。
▶ BPM 60、4弦. エンクロージャーをゆっくり。上のGb・下のEを通り、Fに正確に着地します。
▶ BPM 60、5弦. 音と位置は4弦と同じです。
20〜40分・実践 上の包んで着地をBPM 80で繰り返します。着地のFが手前の二つの音よりはっきり強く聞こえるか観察します。4弦で覚えたら5弦でも確かめます。
40〜50分・録音/フィードバック 30秒録音して、包んで狭めたあとFに降り立つ瞬間がはっきりしているか聴いてみましょう。着地が弱ければ、上・下の二つの音を少し短く切ってみます。
今日の完了基準: ターゲットFを半音上Gb・半音下Eで包んだあと、スイング4分音で4弦・5弦の両方でFにきっちり着地できる。
- 着地を急いでしまう。 上・下を包むうちに嬉しくなって3拍目のFを引っかけて早く押さえがちです。二つの隣り合う音はそれぞれ正確に1拍ずつ、Fは自分の拍に降ろします。
- 下の隣り合う音を抜かしてしまう。 上のGbだけ押さえてすぐFに行くと、エンクロージャーになりません。上・下を両方通ってこそ、狭まってくる緊張が生まれます。
今日包んだターゲット、F一点を目に刻んでおきましょう。エンクロージャーは結局、この一点へ連れて行く技術です。
▶ 4弦. 今日の着地点F(4弦1フレット)です。緑の点一つに、すべてのエンクロージャーが集まります。
▶ 5弦. 位置は4弦と同じです。低音Bでより低いFも見当をつけられます。
- 初日の自分をほめましょう。 エンクロージャーという上級の近づき方の扉を開けただけで大きな一歩です。明日はこのエンクロージャーでコードのルートを狙い、ウォーキングの出発点をさらに固めます。