Riff

Month 3 — モード・表現・作曲(卒業学期) · 9週目

ドリアンの正体はたった1音:長6度F#との出会い

約50分

理論 · 解説

今日なぜこれをやるかというと。この8週間で、マイナー、コードトーン、ガイドトーンをしっかり身につけてきましたよね。でもソロがずっと「暗いマイナー」の中をぐるぐる回ってしまっていませんか?悲しくて、重くて、いつも同じ色。今日からその色を変えていきます。たった1音だけ変えて。

私たちが知っているナチュラルマイナー(エオリアン)は、Aを基準にするとこうなります。

  • Aエオリアン:A B C D E F G → 6番目の音はF(短6度、b6)

ここでその6番目の音を半音だけ上げます。FをF#に。

  • Aドリアン:A B C D E F# G → 6番目の音はF#(長6度、♮6)

これだけです。スケールの中でたった1音、b6 → ♮6。でもこの1音が、サウンドをまるごと変えてしまいます。エオリアンのFは根音Aの上で押さえつけられたように暗く響きますが、ドリアンのF#はもっと開けて明るく洗練された響きになります。サンタナがマイナーの中で「ジャジーでラテンっぽい」あの雰囲気を出すとき使っているのが、まさにこのF#なんです。

なぜこの音がそんなに特別なのか。F#はドリアンをドリアンたらしめる特性音(キャラクターノート)だからです。残りの音(A B C D E G)はエオリアンとまったく同じ。だからドリアンの色を出すには、F#を積極的に聞かせる必要があります。F#を避けて通ると、ただの暗いマイナーに戻ってしまいます。今週はずっと、このF#を「色を塗る筆」として使っていきます。

今日の目標は2つだけです。1つ、Aドリアンのポジションを1つ手に入れること。2つ、その中でF#(長6度)がどこにあるか、目をつむっても見つけられること。バッキングはAm7一発を無限ループさせるものを使います。マイナーの上にF#を乗せるとなぜ明るくなるのか、今日は耳で確かめましょう。

目で見る

まず、Aドリアンポジション1(5フレット開始、1弦につき3音)です。ハイライトは2種類。F#(6度、色彩音)は今日の主役なので黄色、C(b3)はAm7の3度、つまり着地目標として緑で示しています。根音Aは3か所(6弦5フレット、4弦7フレット、2弦10フレット)にあります。

次に、エオリアンとドリアンを耳で比較する短いラインです。どちらの小節も5度(E)→6番目の音→5度(E)→根音(A)で同じですが、6番目の音だけが違います。1小節目はF(b6、暗い)、2小節目はF#(♮6、明るい)。フレット1つ分の差(8フレットと9フレット)が色をまるごと変えることを、実際に聴いて確かめてください。

5678910eBGDAE1R324b31435461b73R421b33445162b74R122b34
A Dorian - Position 1 (natural 6th F# color)
4/4 · 3rd_intervaleBGDAE758757R7596757R
Aeolian b6(F) vs Dorian natural 6(F#) - hear the difference

今日の練習

0〜10分・ウォームアップ(BPM 70)— 4音グループで手を開く メトロノーム70に合わせて、ポジション1を4音グループで温めます。A-B-C-D/B-C-D-E/C-D-E-F#…というように、4音ずつまとめて1段ずつ上がっていきます。上行下行を丸暗記するのではなく、4音のまとまりで捉えるのがポイントです。F#(5弦9フレット、2弦7フレット)が出てくるたびに、声に出して「エフシャープ!」と呼んでみましょう。今日のウォームアップの核心は、F#に名札をつけることです。

10〜20分・頭のトレーニング(F#の位置を刻み込む) メトロノームを止めて、ポジション1の中のF#だけ2か所(5弦9フレット、2弦7フレット)を目で確認しながら押さえます。続けて根音Aの3か所(6弦5フレット・4弦7フレット・2弦10フレット)も同様に。最後は目をつむって「Aを1つ→一番近いF#を1つ」を3秒以内に押さえられれば合格です。F#が根音からどの方向にあるか、手に覚えさせましょう。

20〜40分・実戦即興(Am7ヴァンプ/BPM 70) 「Am7 vamp backing track slow」で検索して流します(Am7一発の無限ループ)。ルールは1つ、他は全部忘れてエオリアンのライン(Fで終わる感じ)を何回か弾いてから→同じ場所ですぐにF#をそっと差し込んでみてください。2つ目の比較ライン(5-6-5-R)をそのままバッキングに乗せてもOKです。目標はただ1つ、「FをF#に変えると明るくなる」ということを、自分の耳で確かめることです。

40〜50分・録音・フィードバック(推奨) 最後のジャム30秒を、手元の録音ツール(スマホのボイスメモでOK)で録音します。聴き直してチェックするのは1つだけ。F#を入れた部分が実際に「開けて明るく」聞こえたか?聞こえなければ、F#をもっと長く、もっとはっきり出して録り直してみましょう。今日はF#の色を耳に刻むことがすべてです。

今日の完了基準: ポジション1を4音グループで1周。目をつむってF#の2か所を3秒以内に押さえる。Am7の上で、Fラインから F#ラインへの切り替えを自分の耳で聴いて「明るくなった」と確認する。

  • F#を避けて通ってしまう。一番よくある間違いです。ドリアンスケールを弾いていても、肝心のF#をさらっと通り過ぎてしまうと、耳にはただの暗いマイナーとして聞こえてしまいます。F#は隠す音ではなく見せびらかす音です。長く、はっきりと、ビブラートまで乗せて聞かせましょう。
  • FとF#を手で混同してしまう。5弦ではFが8フレット、F#が9フレット。たった1フレットの違いなので、焦ると混ざりやすいです。「ドリアン=1フレット上(F#)」と体に刻み込みましょう。1フレット下に滑ったら、それはドリアンではありません。
  • 音名なしで位置だけ覚えてしまう。「5弦9フレット」とだけ覚えると、他の場所のF#が見つけられません。必ず「これはF#(長6度)」と名前で呼びましょう。名前がネック全体をつないでくれます。
  • テンポを欲張ってしまう。70は遅く感じるかもしれませんが、今日はF#の色を耳に刻むことがすべてです。速く流してしまうと、その1音の明るさを感じ取れません。ゆっくり、その1音を味わいながら。