Riff

Month 3 — モード・表現・作曲(卒業学期) · 10週目

ミクソリディアン入門+アイデンティティを決める2音:♭7(G)の緊張とメジャー3度(C#)の解決

約50分

理論 · 解説

今日なぜこれをやるかというと、先週はドリアン(♮6)でマイナーコードに色を付けましたよね。今週はその逆側、ドミナント7thコードの番です。A7のバッキングを流して、Aマイナーペンタトニックだけをなぞってみると……間違ってはいないけど、ちょっと物足りないですよね。「ブルースっぽいけど、なんだか単調」なあの感じ。それをガラッと変えてくれるのが、今日のスケール、Aミクソリディアンです。

Aミクソリディアン=A B C# D E F# G。メジャースケールから音を1つだけ、7度を半音下げたものです(長7度G#→短7度G)。だから、このスケールのアイデンティティは、たった2つの音で決まります。

  • 長3度=C#——「これはメジャーだ」と宣言する音。明るくて、たどり着くと耳が「あ、着いた」と安心する解決音です。
  • 短7度(♭7)=G——ミクソリディアンの署名です。この音がコードに「ただのメジャーじゃなくてドミナントだよ、どこかに行きたいんだ」というムズムズした緊張を与えてくれます。

大事なのはこの2音の関係性です。G(♭7)で緊張を作り、C#(長3度)でそれを解決する。マイナーペンタだけに住んでいる人は、このC#(長3度)をそもそも押さえません。だから音がマイナーみたいに暗くしか聞こえないんです。今日から一つルールを決めましょう。A7の上ではC#を必ず着地音として使う。C#に着地した瞬間、あなたのソロは「ブルースのものまね」から「本物のドミナント」に変わります。

そしてブルースの隠し味をひとつまみ。マイナー3度のC(♭3)ブルーノートとしてちょっと混ぜてみましょう。Cはスケールの正式メンバーではありません。C#(長3度)のすぐ半音下にいる、ひねくれた音です。これをサッと通り過ぎたり、半音押し上げてC→C#と解決したりすると、あの有名な「こってり」したブルージーなミクソリディアンサウンドが生まれます。ルールはW4のときと同じ。ブルーノートは目的地ではなく、長3度への通り道。居座れば間違った音、通り過ぎれば名フレーズです。

今日はPosition 1(第1ポジション)を手に馴染ませて、その中でG(♭7)とC#(長3度)を目をつぶってでも見つけられるようにするのがゴールです。

目で見る

まずはAミクソリディアンのPosition 1です。根音Aは6弦5フレット。強調が2種類あるので、よく見てください——長3度C#(解決、緑)♭7 G(緊張、黄)。この2色が今日の主役です。

2つ目は、アイデンティティを決める2音の緊張-解決マップです。G(♭7、緊張)とC#(長3度、解決)を1つのハンドポジションの中に並べて、その間にブルーノートC(♭3)も重ねました。C(3弦5フレット)→C#(3弦6フレット)、たった1フレット分だけ上がって解決するのが見えますよね。これが今日、耳に刻む図です。

3つ目は、今日のブルージーなリックです。1小節目は根音から出発してブルーノートCを半音ベンドしてC#(長3度)に解決、2小節目は♭7 Gで緊張を作ってからC#に着地し、ビブラートで締めくくります。このリック1つが、今日学んだ理論のまとめです。

45678eBGDAE2R42132445162b74R123425464b72R42
A Mixolydian - Position 1 (major 3rd C# & b7 G)
45678eBGDAERb7b33
Identity notes: b7(G) tension -> major 3rd(C#) resolution, with b3(C) blue note
4/4 · blues_lineeBGDAEhalf7R5b3637558b775563
Bluesy Mixolydian lick (b3 blue note -> major 3rd, b7 tension -> 3rd)

今日の練習

0〜10分・ウォームアップ(BPM 90)——4連音シーケンスでフォームを目覚めさせる メトロノーム90に合わせて、Position 1を4連音(16分音符)で1周上行します。ブロックを上下になぞるだけなのは禁止です。「4音ずつまとめて」A-B-C#-D/B-C#-D-E……という具合に押し上げていきます。C#(長3度)を通るたびに、心の中で「ここが明るい音!」とハンコを押しましょう。手が固まったらBPM 80に落として大丈夫です。

10〜20分・頭のトレーニング(ターゲット=GとC#) メトロノームを止めて、Position 1の中で♭7 Gだけを2か所(4弦5フレット、2弦8フレット)見つけて押さえます。押さえるたびに「これは緊張」と声に出して。次は長3度C#だけを2か所(5弦4フレット、3弦6フレット)押さえながら「これは解決」。最後にGを1つ押さえて→一番近いC#へ手を移動する動きを5回。目を閉じてG・C#をそれぞれ3秒以内に押さえられたら合格です。

20〜40分・実戦即興(A7ワンコードバッキング/80〜90 BPM) 「A7 vamp backing track」または「A7 groove jam」を流します。ミッションはひとつだけ。フレーズを終わらせるときは必ずC#(長3度)に着地すること。途中はペンタトニックのように自由に遊んでOKです。ただし文の句点はいつもC#。余裕があれば、今日のブルージーなリック(C→C#半音ベンド)を2、3回混ぜてみましょう。C#に着地した瞬間、バッキングと「カチッ」とかみ合う感覚があれば成功です。

40〜50分・録音・フィードバック(推奨) どんな録音ツール(スマホのボイスメモでもOK)でも構わないので、最後のジャムを30秒録音します。聴き直して、チェックするのはひとつだけ。フレーズの終わりが本当にC#で止まっていたか、それとも癖で根音Aや♭3のCに流れてしまっていたか。C#で止まっていなければ、その癖を明日から直していきましょう。

今日の完了基準:Position 1でG・C#をそれぞれ目をつぶって押さえられる。A7バッキングの上でフレーズをC#に着地させること8回以上。ブルーノートC→C#の半音ベンド成功。

  • C#(長3度)を飛ばしてしまう病。一番よくあるパターンです。マイナーペンタの手癖のせいで、無意識にC#を飛ばしてC(♭3)にばかり留まってしまう。それだとドミナントではなく、ただのマイナーに聞こえます。今日は意識的にC#を文の終わりに置きましょう。
  • ブルーノートCに居座ってしまう。Cは長3度への通り道であって、終着駅ではありません。半音押し上げてC#に解決するか、サッと通り過ぎましょう。長く留まった瞬間、「間違った音」になってしまいます。
  • ♭7 Gをあちこちに撒いてしまう。Gは強い緊張音なので、着地音として長く引っ張ると、宙ぶらりんで解決しない感じになります。Gはちょっと緊張をかけるスパイスとして使い、すぐにC#や5度のEに解決させましょう。
  • テンポを欲張ってしまう。90が物足りなく感じても、今日は位置と色を焼き付けることが全てです。速く雑になぞるより、ゆっくりC#・Gと名前を呼びながら押さえるほうが、今週まるごとを生かしてくれます。