理論 · 解説
今日なぜこれをやるかというと、ひとつだけお伝えすると、ペンタトニック第1ボックスは、もう100回くらい弾いてきたはずです。でも、手に馴染んでいるのと指板をきちんと覚えているのは、実は少し違います。上行–下行でラーラーラーラーと行ったり来たりするだけのもの。それは指板を覚えたのではなく、指の筋肉が惰性で回っているだけなんです。即興ができない理由はまさにここにあります。曲の上で「さあ、好きに弾いてみて」と言われると、手はその惰性のトラックを往復するだけになってしまうんですね。
そこで今日からルールを一つ決めましょう。上行・下行の単純な繰り返しは禁止。代わりに、4連音(16分音符4個ひとまとまり)のシーケンスでボックスを噛みしめていきます。なぜ4連音かというと、ボックスを「上から下へ一方向」ではなく「4つ進んで1つ戻ってまた進む」というやり方で捉えると、脳が各音の位置を個別の座標として覚え始めるからです。これで惰性が壊れていきます。
覚えるべき座標は、Aマイナーペンタトニックの5音だけです。A(根音)・C(♭3)・D(4)・E(5)・G(♭7)。この中でも今日とくに目に焼き付けてほしいのがC(♭3)。これがAmコードの3度、つまりこれから3か月間ずっと「着地点」になる音です。今は「あ、Cはここ・ここ・ここに緑の印があるんだな」くらい、目に馴染ませておくだけで十分です。
目で見る
Amペンタトニック第1ボックス(5フレット根音)。緑にハイライトされた音(♭3=C)が、これから狙っていくターゲット音です。
今日の核となる武器、4連音(16分音符)の上行シーケンスです。1-2-3-4/2-3-4-5/3-4-5-6…というふうに、1つずつずらしながら上がっていきます。
今日の練習
0〜10分・ウォームアップ(BPM 60) メトロノーム60に合わせて、4連音シーケンスを6弦から1弦の終わりまで上行のみ。下行はまだやりません。1拍に16分音符4個、つまり「タカタカ」ひとまとまりがクリック1回にぴったり収まるように。オルタネイトピッキング(ダウン–アップ–ダウン–アップ)を固定します。
10〜20分・頭のトレーニング(今日のターゲット=C/♭3) メトロノームを止めて、指板の上でCの音(♭3)だけを探して押さえます。6弦8フレット、3弦5フレット、1弦8フレット——この3か所。押さえるたびに声に出して「シー!」と呼びます。位置を手ではなく名前で覚えさせるプロセスです。3分以内に目を閉じて3か所を押さえられたら合格。
20〜40分・実戦感覚 — ワンコード即興(Amバッキング/BPM 60〜65) 「Am backing track slow」あたりで検索して、Amのワンコードバッキングを流します。ルールは一つだけ。4連音シーケンスで上がっていき、どこかで止まりたくなったら必ずCかAで止まる。まだ「かっこいいフレーズ」は気にしなくて大丈夫。惰性のトラックではなく、シーケンスで動いている感覚だけを味わってください。
40〜50分・録音・フィードバック(推奨) 手元の録音アプリ(スマホのボイスメモでもOK)で、最後のジャムを30秒だけ録音。聴き直して、チェックするのは一つだけ。16分音符4個が団子にならずに粒立っているか。団子になっていたら、明日はBPMを55に下げても大丈夫です。
今日の完了の目安:BPM 60で4連音の上行シーケンスを途切れずに1弦まで、そしてCの3か所を目を閉じて押さえられること。
- 惰性の往復が再発する。気づいたら「ラーラーラーラー」の単純な上下行に戻っていたら、それは脳が楽な道に逃げただけ。シーケンスがこんがらがって、もどかしく感じるのは正常です。そのもどかしさこそ、新しい回路が開通しかけているサインです。
- 速さへの欲張り。60が遅く感じても、絶対に上げないでください。速さは今週のDay 3で上げます。今日速く弾いて崩れるより、遅くてもクリアに弾けるほうが100倍得です。
- ♭3を「ただの一音」として流してしまう。Cはこれから3か月間の主人公です。押さえるたびに、少しだけ強く、少しだけ長く。今から耳に刻み込んでおけば、後のコードトーン・ターゲティングが驚くほど楽になります。
- ピッキングする手の力み。腕ではなく手首で浅く弾きます。16分音符を腕で弾いていると、20分で疲れ切ってしまいます。